模型×思考
こんばんは。いとうゆりえです。
きょうは台風で延期になった建築防災協会の木造耐震改修技術者講習を受講してきました。
今回も台風が近づいてきているので、またもや延期かと頭をよぎりながら、いい天気にめぐまれ、無事終了。よかった。
中古住宅利用の促進もされるなか、既存木造住宅の耐震改修は大切なことです。
さて、そんな堅苦しい講習はさておき、今日は模型で考える建物のはなし
ゆうじさんが頑張って(笑)つくった簡易模型。ちょうど完成したようでした。
お知り合いの方から相談されている小屋です。
知人たち皆でDIYするとか。なので、シンプルに。
プランの色塗りだけお手伝い
本当の見え方はこんな角度かな。
模型は図面と違って分かること、色々あります。
ただ、在来軸組工法、伝統工法など日本の建物つくりで、(※むかしの大工さんの家つくりですョ)模型をつくるという習慣があったことは聞きません・・・(違ったらごめんなさい。教えてくださいな。)わたしが大学等で小屋組みをつくるとき、まず何を作ったかというと、板図(図板とも言う。ベニヤ板等に柱位置をプロットした墨でかいた平面図。)でした。そして、尺杖(建物の基準になる物差し。木の棒に1尺303mmごとに印しをつけた長い物差し。)作成。小屋組み周りの高さ関係を決めれば、大概出来てしまいます。
もちろん、不明なところ、要所は原寸図を描いたり、仕口・継手部分だけ作って納まり確認します。ただ建物全体の模型を作ることはなかったですし、大工さんが模型をつくって、お客さんに説明するという事、聞いたことはありません。大工さんが頭の中で描き、経験をもとに作られる日本の木造住宅では、必要とされなかった・・・わざわざ作られなかったのかなと想像します。
そして、大工さんお任せの家つくりから、お客様目線の家つくり・建築家が設計する昨今では、状況は変わりました。
今では、お客様とのイメージ共有や、建築家が建物のプロポーションを検討するためにつくられます。
↑ゆうじさんが作った模型は、お客様とのイメージ共有のため。
そしてこれは、検討のための模型
ムーミン屋敷の設計された村山氏の模型展のパンフレット
※展示期間終了したものです。御免なさい。
まさに、この粘土模型は検討のためのもの
建物が現実に新しく生まれる前に、設計者の手元に仮にうまれるのが建築模型である。図面の作業と併行して、粘土、ダンボール、スチレンボード、バルサといった材料でつくったさまざまなスケールの模型は、仕事が進むごとに、次々に誕生してくる。
「思考する手・生命の建築展」パンフレットより一部引用
幸いにも村山氏の数々ある模型を拝見する機会が以前ありました。
その模型から伝わってくる、氏の建築への姿勢・想い・熱意、こんな言葉で表現するのも恐れ多い・・・。
検討を重ね、ファイナル模型※左写真となって、建物建築へ
その思考のプロセス、圧倒するとともに、学ぶところがたくさんあります。
ついつい平面的な図面で考えがちになってしまう在来工法の木造住宅ですが、村山氏の思考のプロセスを間近に拝見すると、ハッとさせられるます。
もっと思考を自由に、設計者の意図をかたちに。
何年も前にコンペ用に作成した模型・図面
コンペなので自由 笑 実際にはこんな家は難しいでしょうが!
これをみた大先輩のことば「(こんな風に)30代はもっと”あそんだ”ら」
実務ではつくりやすさ等、型にはまることを必要とされますが、設計者としては内なるものを熟生させ、提案することも大切にしていきたいと思うのでした。(できるかな・・・;;)
ムーミン屋敷のある「あけぼの こどもの森公園」に、村山先生が設計したカフェがオープンしたので、自信がなくなった時に刺激をもらいに行きたいと思います。!