続・漆喰と珪藻土、どっちが良いの?という話
すぐ続きを書こうと思いつつ、あっという間の1カ月。
「漆喰と珪藻土、どっちが良いの?」の続きです。
上記回答は前回の投稿に書いた通りですが、個人的にその結論に現状至った漆喰と珪藻土について、その成分の話。
漆喰や珪藻土は左官材料のひとつとして知られていますが、左官材料は一般に複数の原料を調整調合してつくられており~
ざっくりですが左官材料 = 結合材(固まるもの)
+ 骨材(かさまし 等)
+ 混和材(添加剤)
※結合材:それ自身が科学的あるいは物理的に硬化して左官材料の強度発現のもととなる材料
※骨材:模様の形成あるいは増量の目的と同時に、結合材の強過ぎる性質を緩和して、性能のよい左官材料を得る助材としての働きを持つ
※混和材:ひびわれ防止、下地への付着性・保水性・作業性の向上などを目的に混和するもの。
普通しっくい = 消石灰 + のり + 麻すさ +(砂)
結合材→消石灰:水酸化カルシウム。石灰石を岩塩と焼成し得られる消石灰に水を作用させたもの。
(昔のライン引き。強いアルカリ性の粉が皮膚に触れたら良くないと今では変わっています…)※つくる過程が分かりやすくのっています! 村樫石灰工業HP
骨材→(砂):入れたり入れなかったり
混和材→麻すさ:麻繊維のくず。壁の補強、亀裂防止、作業性向上など
混和材→のり:粘性、保水性をあたえ作業性の向上させる
この混和材、昔はのりに海藻の糊(ツノマタ)が使われていましたが、最近は化学糊剤が使われるようになっています。また、麻すさ以外にもわらすさ、紙スサ、また化学繊維もあり。
さらには、消石灰は石灰岩からつくられたものだけでなく、貝殻を焼いた「貝灰」を使われることも。
おなじ「しっくい」と言われるものでも、中身は少しずつ違うのですね。
昔は各々の土地で手に入った材料で、調合されて作っていたわけで。同じしっくいと言えど、まったく同じではない。家庭で少しづつ味が違う、家庭料理みたい~!
各々メーカーから「しっくい」と言われ販売されているものは、各々のメーカーの原料ならびに割合に工夫があって、同じであって、同じでない。そんな違いがあるんですね~~~
さて、漆喰の話ばかり。
では珪藻土は?
珪藻土とは・・・
珪藻が海や湖沼などで大量に増殖し死滅すると、その死骸は水底に沈殿する。死骸の中の有機物の部分は徐々に分解されていき、最終的には二酸化ケイ素を主成分とする殻のみが残る。このようにしてできた珪藻の化石からなる岩石が珪藻土である。
ウィキペディア(Wikipedia)
珪藻土には目に見えない小さな孔が無数にあいており、この孔のおかげで、吸湿・乾燥がすばやくでき、調湿性能があると言われております。
ただ珪藻土は、漆喰でいう消石灰のように結合材にはなりません。骨材にあたるのでしょうかね、なので、固まらせるための何かしらの材料が必要です。ここがポイント!
この結合材に消石灰をつかっているメーカーもちらほら。
珪藻土は中性ですが、消石灰はアルカリ性で防カビに貢献し(まったく生えないという訳ではありません)その 双方の長所を取り入れたりと、 その他+α様々な材料を混合して、オリジナルな左官材を作られております。
ということで、珪藻土と言ってもメーカーによっては漆喰の成分がはいっていたりと、その中身は異なるのですね~~~
結果、「漆喰と珪藻土ってどっちが良いの?」 という質問には、
「仕上がりのテクスチャー、風合いが好みのもので良いのでは?」
という回答に。
成分の拘りがある方には、名前に捕らわれず、原材料を確認することおすすめします。あとは、その他の指標、価格だったり施工性だったりで、ある程度決まっていくのではないでしょうか。
ちなみに、この写真で使っているのはこちら
こちらは、5つの素材をブレンドしたのが特徴。
①宮城のゼオライト ・・・超多孔質鉱物、調湿機能を期待
②卵の殻 ・・・ マヨネーズ工場から排出される卵殻をゼロエミッションに一役買うと共に、仕上がりの表情を豊かに 、また多孔質により機能性の向上に活躍とのこと。
③米国産の珪藻土 ・・・多孔質の土、調湿機能を期待
④岡山の炭酸カルシウム ・・・結合材の役割か?
⑤千葉のつのまた糊 ・・・「のり」の役割
珪藻土とうたってますが、成分は色々・・・もうよく分からないですよね苦笑
施工性、見た目の雰囲気、価格の折り合いが良かったので採用しました。
※メーカーのまわしものではありません。
眺めてみると、奥が深くて終わらない左官の世界です。。。なので、とりあえずは、繰り返しになりますが、まずは実物見て
「仕上がりのテクスチャー、風合いが好みのもので良いのでは?」
ご参考になりましたかね;
参考文献:「建築材料学」建築材料研究会